遊戯王

はっち2023までの新制限レポート【ピュアリィ 2023/7】

f:id:mikanayuip:20230727004925j:image

はっちCSが無事終了したので制限改定発表〜大会当日までの構築の変化や調整記録などについてまとめて行きたいと思います。

反省点は多々あるためこのような記事に残すこととしましたが、おかげさまでべスト4まで勝ち進むことが出来ました。相談・調整してくださった皆様本当にありがとうございました。

 

1.改訂直後のデッキ選択について

改訂を踏まえたピュアリィの所感、そして仮想敵となるであろう上位デッキに関しては前回記事でも書いた通りでした。

上記事は改訂直後の調整雑感ということで現在の思考と乖離している部分がありますが、今も共通している部分としては

 

・改定後は環境のデッキパワーの平均値が著しく低下したデフレ環境

・全体的に弱くなった結果、弱体化されたピュアリィがまだ自力を維持できているデッキとして挙げられる

・上位デッキはピュアリィ・R-ACE・ラビュリンス・ティアラメンツ

 

当たり前ですが、全デッキがそれぞれ利点弱点を持っており、どのデッキを選択してもおかしく無いと言った状況でした。

そんな中、他の環境デッキと比較したとき如実に勝る安定性と豊富自由枠による対応力、なにより当日までの1ヶ月間を他のデッキの研究に充てるよりかは、前々期からのある程度の蓄積があるピュアリィをとりあえずベースに置き、仮に持ち込むデッキを変えるとしてもそこを明確な基準値とすることにしました。

即ち、ギリギリ(果ては前日の新弾)まで練度を度外視してもピュアリィを捨てる価値のあるデッキが現れたら乗り換える覚悟はしていました。

 

2.構築の変化

まずは構築についてとなります。詳らかな解説は当日持ち込んだリストに限りますが、そこに至るまでの思考の変化についてもざっと触れておきたいと思います。

 

1

前回記事でも述べましたが、制限改訂の影響の一つとして「ハンデスとワンキルが消えたことで誘発でしか対応できない展開系が消えた」という点が挙げられます。

そのため弱い誘発にハンドを奪われるよりかは先攻ではプランプでX素材にできる魔法罠であり、後手では一枚で大きなリターンを期待できるカード達を今まで誘発だった枠に搭載し、かつ環境的にピュアリィがターゲットになることを踏まえ架け橋+副葬ギミックを採用しました。

ミラーはサイチェン後は後手を選択する方針でサイドを構築し、他対面では先攻時は号でターンスキップ系の通常罠を置くといった方針を取っています。

結論から言うと、ミラーマッチだけに目を向けても流行の構築(Gうらら搭載)に不利が付いてしまう点から無しとなりました。

実践して見て様々な問題点が見えましたが

 

・うららを外して入れた後手札の全てはGの受けを改善できるものではなく、減っているとは言えスリーピィによりドローをするプランは健在、そしてゲームを通して当時流行り始めていた強貪を止める手段はデッキ内に存在しない、それらのアドバンテージ獲得手段を踏まえると目先の盤面を対処したところで先攻側の優位を崩すことが出来ない

 

これが最も大きいです。ある程度の出力が保障されているピュアリィというデッキにおいて相手の動きに対処するというのは得策では無く、ミラー以外の対面においても誘発でギミックを遮断して圧殺するか、後手でも増殖するGを止めて大ぶりな動きを通しに行く方が良いという結論に至りました。

 

初週で方針を切り替え、誘発を入れるという他のプレイヤーであれば既に辿り着いているであろうスタートラインにようやく立つことが出来たので、次の構築からが本番と言えるでしょうか。

 

共通してリリィの3枚目を採用しています。これはスリーピィの制限に伴う初動の減少、特に空盤面で打てる速攻魔法が減ってしまったことでその枠を補填しつつデリシャスハッピーの打ち先を供給できる召喚権として優秀であるため入れています。

 

2

1回目の大きな構築の転換を行います。

先ほど述べた誘発の採用は勿論、今回の構築から強貪を入れています。

あくまで感覚値なのですが、強貪をプレイした先攻側に対抗できるのは、後手から打つ強貪だけであると調整過程で思いました。これは流石に言い過ぎとしても、それほどまでに無条件の2枚ドローは特にハンドの枚数が明確にゲームの勝敗を左右する本デッキにおいては、試合に対する重要性がかなり高いものでした。

架け橋のリターンは確かに大きいですが、架け橋とくっつけて強い速攻魔法の母数が減っている、特に空盤面で打てるスリーピィメモリーの減少は影響が大きく、架け橋でフィールド魔法にアクセスして叶えたい目標を達成できないといった状況も多く見られました。であれば強貪で選択肢を直接増やす方が誘発貫通に寄与できます。

また、後手からGを止める、先攻では環境初期のクロウやアトラクター、うさぎなどと言った多くの誘発へ対処できる墓穴を採用。これ自体は汎用札はもちろんティアラメンツ等の墓地効果、インパルスにも打つことが出来、好感触でした。

このサイドでもミラーマッチは後手選択。アトラクターにより増殖するGを封じる、或いはアトラクター、割物と壊獣をセットで持つことによって完成したノアールとリソースに対処する。

ラー玉はティアラメンツの完成盤面に対してこのレベルのカードでないと捲れないという判断のもと採用。アトラクターとの被りなどの問題についてはメモリーでコストにすることである程度緩和できるかと思います。

ただし、こちらに関しては、ピュアリィがバロネスorアビス+ナチュビという盤面で十分負けうること、更に盤面をラー玉単騎にするとハピネスなどの選択肢も無くなってしまうことを考えると、同じような役割を持てるカードとしてラヴァゴーレムにしていた時期もあります。

現在の感覚からするとレスキューを舐めすぎでは?という感想が浮かぶかと思いますが、当時はまだアウローラドンを絡める構築は主流ではありませんでした。そのため割物の評価が今よりかなり高く位置付けられています。

ピュアリィープの三枚採用については、今までこちらのカードへのアクセスに貢献していたスリーピィが減ったことで全体的な誘発の受け性能が落ちたのでそこの補填をすべく素引き率やフレンドからの確定アクセスを目的に、また強貪でレベル1ピュアリィモンスターの総数が著しく減った場合にも無理矢理デッキ内のリソースを繋げれるようにすると言った意図があります。

先行で立てるランク1としてロビンを採用していますが、少なくとも当時の環境には妨害としてマッチしていませんでした。

 

3

抹殺はあらゆる対面に対して先攻の動きの押し付け、捲りの際のGの回避に貢献するほか、ミラーに対してはこちらのターンで開いたピュアリィープを宣言することで相手のプランを瓦解させる事ができます。墓穴を2枚入れる枠が無ければこちらを優先したいと思っています。

 

新たな環境も研究が進んでいき、この頃から4強だったデッキの相互関係が浮き彫りになり始め、あるデッキが研究の進展により急成長していきます。

家具型ラビュリンス、ピュアリィと真っ向からリソース勝負を仕掛け、ギミック内で次元障壁を構えることでピュアリィの対応力の根幹全てを断絶する、明確な不利対面と言えるデッキがシェアを拡大しました。

ギミックをうららとわらしといった誘発で断てるという明確に弱みのあるデッキではあるものの、盤面+障壁を構えられた時に確定負けというのはあまり割り切れる事象ではない、尚且つそれらを素引きのカードで未然に防ぐしか無いというのは個人的にはかなり受け入れ難く、エクストラの枠を無理矢理捻出してでも何かしらの対抗策を用意するべきだと考えました。

そこで辿り着いたのがマスカレーナを素材に含んだアストラム。解答はかなり絞られ、リンク数に関しても概ねダルクが使えることが予想されるのでそこまで非現実的な数値でも無いし、出す過程でアザレアを経由出来れば盤面もある程度片付けることが出来ます。

ミラーではプランプの吸収効果で対処されてしまうのでこのプランの成立にリソースを吐き切ってしまうのは危ういもののETなどの場面では活躍が見込めるカードとなります。

ちなみに今現在のプールだとティフォンで処理されるのとアザレア経由リトルナイトでも返しとして充分強いので恐らく採用は無しかと思います。

特筆すべきはやはりサイドボードでしょうか。

かなり実際の持ち込みに近しいものに仕上がっています。

わらしはラビュリンスのゲームメイクを否定しうるカード、ヴェーラーは雑多展開系はもちろん、レスキューがラドンを入れてきたことにより誘発2枚以上が要求されるのを踏まえて採用。

応戦するGの流行も見られ、自分の構築に登用した上で、主にミラーで応戦を被弾した際に先攻側の優位を保ち、そして他の対面も完封しうるサモンリミッターを先攻札に選択。これによってミラーマッチも先攻を選択する方針へ変わりました。

アトラクター外しについて。間違いなくそのターンに限ったリターンの話をするならアトラクターは最強格の誘発です。

しかし、返しのこちらのアクションも著しく制限されてしまうのは言うまでもありません。例えばティアラメンツのファーストアクションにこのカードを投げたとして、相手は確実にストップしてくれはするものの、残りのハンドは抱えられたままこちらに番が渡ります。こちらとしてはアトラクター適用下でいつも通りのプレイとはいかない為、アーゼウスなどで蓋をすることになるのですが、温存された攻め手で結局対処されてしまうケースが目立ちました。

このように先後を入れ替えるというアトラクターの強みが、現在想定される仮想敵に対してはそこまで発揮できないことが多く、不採用となります。

 

4

 

概ね新弾の収録カードが判明した後の構築です。

発表されたカードの中にはピュアリィはもちろん環境全体に大きな影響を齎すことが確実となったカードがありました。

f:id:mikanayuip:20230727044219j:image

S:Pリトルナイト、新たな汎用リンク2の登場です。先攻後攻ともに出す価値があり、当時流行っていた応戦の回答かつ、応戦を混ぜて出せる強力な捲り札です。

ミラーでは①の効果でフレンドを処理しつつ、②の効果でピュアリィープを止めることができるので、先手側はリィープを開くタイミングの判断がより難しくなっています。一時期は先攻を取ることすら危ぶまれるレベルでこのカードの登場は衝撃を与えてきました。

また、ディアベルスター関連の登場によるレスキューエースのアッパーが想像を遥かに超えるもので、構築全体を対レスキューへと寄せています。無効系の4枚目かつ、リトルナイトの素材になれる点が優秀なエフェクトヴェーラーをメインから採用。副産物として抹殺の選択先が増えています。

対レスキューを想定した際にδで虚弱な盤面でターンを貰うことや、無効系とセットで持つことを前提にニビルを採用しています。このニビルのリンク数1もリトルナイトになれる点で評価が上がっています。

実際δに関してはレスキュー対面に限って言うとヴェーラーやニビルなどで実現していたラドンに一枚、タービュランスに一枚という誘発の投げ方とは別ベクトルの誘発となってしまっており、γを無理なく採用できる点はかなり良かったものの結果的に外しました。

 

5(当日の使用リスト)

さて、という事で実際持ち込んだ構築です。

結果的にピュアリィを持ち込んだ理由は先程述べた点に加え、新弾のカード達はピュアリィを環境から排除するほどのものではない、寧ろ新弾のカードを取り込んだピュアリィで対応することが出来る、との判断に基づきます。

リスト4からの変更点はメインのヴェーラーをストリート3枚目に、そしてサイドはほぼ3積みのカードで構成し、一度外した号と羽根を戻しています。

こちらに関しては詳細な採用理由などに触れていきます。

 

リリィ×3

こちらは3枚目が自由枠になるかと思いますが、冒頭に述べた通り召喚権かつ初動としての価値が高く、3枚採用を維持し続けました。後攻はデリシャスハッピーの打ち先が相手の場にあることが多い=召喚権の価値が先攻ほど高く無いという事で3枚目がサイチェン枠になるのも尖ったサイドに仕上がっている以上枠を捻出するのに貢献します。

 

抹殺

結局墓穴では無くこちらへ。仮想敵の筆頭としてやはりミラーが想定されるため、墓穴より優先して採用。こちらもミラーを除きサイド後は抜けるカードになります。

 

ストリート×3

今期に関しては1枚は必須、しかしそこから先が人によってばらつきのあるカードです。個人的にレスキューの後手で確定サーチできるのがあまりにも大きいと感じ、それに加えてピュアリィの当選率を最大限まで伸ばす為3枚採用へ。

 

アニマ

ピュアリィ2体でリトルナイトに行く際そのバリューを向上させるためにリンクリボーかこちらのいずれかはほぼ必須とみていいと思います。

後手の際の除去性能は圧倒的にアニマの方が大きなリターンを見込めはするものの、当然ピュアリィ対面においてアニマは採用圏内のカードであることは周知の事実であるため、不用意にアニマで吸われる位置にモンスターを置く、というのは少なくとも競技シーンにおいてはあまり期待できるものではありません。本構築ではニビルを投げた上でトークンを除去しつつニビル本体とリトルナイトに迎えるなどの噛み合いが見られます。

続いてリンクリボーにする利点に目を向けると、ビューティ+リンクリボーという妥協盤面の選択肢が生まれる、墓地から出てくる効果で相手のメモリーのチェーンを阻害できる、中盤以降のピュアリィやリリィへの成功時効果に対する無効系を避けつつリンク数を維持できる、というのところになります。

先述の通りリターン重視とニビルとの噛み合いの観点から当日はアニマを採用しています。

 

ダルク

リトルナイトの登場でやや役割が奪われてはいるものの、対ラビュリンスにおいて、アザレア経由リトルナイトでカードを触りに行く際に貢献度が高い点、このカード自身はリンク素材にせずに維持することで相手視点処理要求になる点等、やはり新弾後も強みは健在でした。ミラーのグダッたゲーム...というのはあまりにもレアケースですが一応。調整過程では一度だけ発生しました。とはいえこの15枚の中では優先度は低いカードではあるかと思います。

 

プランプ×2 ビューティ×1

本当に人によって意見が分かれる部分だと思います。

運良くビューティ2枚採用が求められる局面は本番では無く、一度だけプランプ2枚目で拾ったシーンがありました。実際ここに関しては未だに正解を出せずにいますが、取れる選択肢の幅が広いのは墓地の速攻魔法全ての効果を得られるプランプ、とはいえ妨害を踏み越える際やビューティ絡みの盤面を捲られた上から更に捲り返す展開でビューティを複数枚使うパターンも容易に想像できます。

直感的にプランプを2枚にしましたが、その結論に辿り着くまでのプロセスを後付けすると

・前提として使うのは先攻盤面が返された、或いは更に攻めに行く際の2ターン目以降

・先攻時、プランプは自身の吸収効果で独立してノアールを出すことができる(リィープが絡まないパターンで出す機会がそれなりにある)

・ビューティを出す先攻展開は基本的にリィープも添えたいという前提がある(ビューティ+Gとかの構えは強いからこの考えが正しいかは今考えるとかなり懐疑的)

と言った具合でしょうか。試合数を重ねれば確実にビューティ2枚目を求められる場面に遭遇すると断言できるため、ここは精査の行き届かなかった点かと思います。

 

エクスピュアリィハピネス

このカードを採用しない理由として多く挙げられるのが「同じ条件で出せるノアールでも勝てているシーンが多い」というもの。以前までは同意見だったのですが、対ラビュリンスでロールバックを使われる展開においてそのターンで詰め切ることの重要性、ミラーのGツッパでの細い勝ち筋を拾える点からもノアールに出来ない範囲に手が届くカードと判断しました。ピュアリィがある程度仮想敵に挙がる環境においては相手の盤面をプリティーの付与効果でフレンドといったリソースを諦めて処理する必要が求められるゲーム展開は、特にサイド後は不安が目立ちます。ハピネスによるライフカットでターンを渡さない事には大きな意味があるとの判断に至りました。

 

羽根号

羽根箒に関してはラビュリンスの「強金にうららを打たないプレイに対して裏目を作る」という構築方針のもと採用された魔力吸収石で積んでしまうことは勿論、ラドン展開を妨害できる誘発とセットで持つとレスキュー対面でも有効な後手札となります。

号は初期構築で軸に置いていたカードですが、今回は各種通常魔法の増量程度の役割で留まっていますが、後手捲りにおいて重要なカードである壺や才にアクセスしつつ、羽根の2枚目になり得る点はサイドカードとしてはかなり有用なものであると言えます。

 

 

続いて、外したカード達や、一般的に入っているものの結局不採用したカードについても思い付く範囲で触れます。

 

エフェクトヴェーラー(メイン)

ストリート3枚目に成り変わった枠に直前まで入っていたカードです。フレンドでの確定サーチ、ピュアリィでの捲りに惹かれ結局ヴェーラーより優先してしまいました。

チーム3人でメインサイドの70枚の中身の内容自体は変わらず、ヴェーラーは全員サイドに落としていたのですが、横でヴェーラーを抹殺で宣言できないことが敗着に繋がったシーンがあり、41にしてでも入れる必要があった可能性があります。繰り返しになりますが、無効系の誘発かつリトルナイトやランク1になれる点はやはり優秀で、パワーは低いものの打てる範囲の広さを踏まえるとメインデッキへの採用は十分検討すべきカードです。

 

リブート(メイン)

こちらはチーム内で分かれた枠です。僕以外はメイン採用でしたがメインにおいてミラーの勝率を先後関わらず上げたいというのを念頭に置いたのと雑多に対して先攻での強さを考え結局三戦の才2枚目を優先しました。ただ仮想敵を先の4デッキに絞るのであればティアラメンツはどちらのカードも無効力であるのを前提としてリブートの方が上に置いてしかるべきカードであったかと思います。

 

姫宮

先行で出すランク1の中で圧倒的リターンの見込めるカード、尚且つ後手でも役割を持つことができる一枚です。

基本盤面の横で壺やサモリミがヒットした場合のリターンや、そもそも展開が不十分な場合に追加の手数を貰える点などは評価できる部分ではありますが、いかんせん誘発寄せの構築だとそもそもドローの期待値がそこまで高くない、そして先攻時に余ったピュアリィの変換手段としてリトルナイトを獲得したため、不採用となりました。

ハッピー以外のメモリースペル複数枚しか無い際に光属性だけでアーゼウスへ向かえるという役割も存在しています。

 

キキナガシ

前提として、アーゼウスの下敷きとなるランク1、こちらかナイチンゲールのいずれかは必須であると考えています。そして場合によっては2種類採用するべきであるとも思う反面、エクストラが窮屈になれば役割が似通っているこの2枚をどちらか一方に減らしても良いと判断しました。

状況問わず素材数を維持できる点ではナイチンゲールが優秀、しかしキキナガシ風鳥はあらゆる妨害を無視して強引にアーゼウスに繋げることができます。ただアニマ同様ある程度の周知が渡ってしまっていると存在自体が抑止力になる=実際に入っている必要は必ずしもない、という結論に至りました。

 

応戦するG

はっちCSの特徴として「古今東西のプレイヤーが集まる」という点が挙げられます。当然開催地的には関東勢の比率が高いとは思うのですが、普段の分布傾向のまま読むのは危険と判断しました。とはいえ、デッキパワーを推察すれば分布のトップ4は冒頭で述べた通りになるはずなのですが、応戦に関してはピュアリィを除いてベストな誘発とは言い難く、結局サイドを丸く意識するという点と先攻側の繰り出すリトルナイトによって今までほどの信頼がおけないという観点から不採用になりました。

 

構築については以上になります。

 

 

3.プレイについて

ピュアリィは現環境に存在するデッキの中で特に選択肢が多いデッキだと個人的には思っています。

そのため、ぶっつけ本番でプレイを考えていく、というのは少なくとも僕個人としては現実的な行為ではなく、「ある程度のパターン化」「プレイ方針の事前設定」が必要であると結論付けました。

それぞれに触れていきますと、「ある程度のパターン化」。こちらはとにかく経験値を蓄積することで見えざる選択肢であったり、初めて遭遇状況を事前に排除していくことを指します。

ただし、起こりうる事象の母数を考えるとこの世の全ての分岐に出会うのは当たり前ですが有限な時間の中では不可能です。

ある程度の、というのは初体験の場面に対しても経験則によって対応ができる状態を意味しており、類似例に対する引き出しを備えておく、というのを調整から意識しました。

これの延長線上に負けパターンの把握、というのもまた存在しています。デッキが持ちうる敗着を把握していく、というのはどのデッキを持ち込むにあたっても意識したポイントでした。

プレイ方針の事前決定」、これも当日の判断ミスを極限まで抑えるために必要な過程です。具体的には対面不明時の目指す先攻盤面や、マッチアップ次第でのケアする誘発の優先順位を決めておくことなどを指します。

これは当日まで秘匿されていたデッキやカードに対して無力になると思われますが、そういった当日の判断のために思考のリソースというか、体力を温存していくというのは一見オカルトのように見えて予選が6回戦もあるルール上現実的に意識すべき範囲の問題なのではないかと考えています。

対極にある存在として「感覚に基づいたプレイ」というのもあります。所謂、手なりという奴なのですが、特に自分はなのですが、デッキに対する理解が成熟していった先で陥りがちです。デッキへの理解が深まった段階ですべきなのは先述の初見の選択肢を減らす調整であったり、実際プレイするにあたってのロジックの明文化である、と考え、意図的に心に根拠のない余裕が絶対に生まれないようにしていました。

 

続きまして、この二軸の後者で触れた方針について実際どのように考えていたかを述べていきます。

対面不明時の先攻展開

対面不明かつデッキ40枚の際は理想の盤面として、プランプリィープフレンド、この3枚を揃えに行くのを主にしていました。

・恐らくトップメタであろうミラーにおいてはプランプの吸収によってリリィで妨害を踏んでからスタートする行為やドロソから入ることに裏目を持たせることが出来、実際素材数を増やすことで7素材以上のノアールが成立すれば妨害数は勿論、三戦の才や一滴での捲りの要求値が上がる

・他対面においてもノアールの素材数を増やすことで単純に妨害数を増やすことが期待でき、ミラーにのみ強いという盤面ではない

例えばですが、リィープでの変身もノアールの正規召喚もどちらも見込める場合、プランプに吸収させる速攻魔法はセットして相手ターンに除外の妨害として機能させるorそれが叶わずとも確実に墓地から吸収する1素材、というのを念頭に置いていました。

 

誘発ケアの優先順位

増殖するGを除く相手のハンドが減る誘発に対する意識の仕方についてです。Gの受けはゲームを通して重くしないことが理想ですが、誘発との重ね持ちをされている場合はある程度割り切って、相手も誘発を投げてる分手札は減っているのだから、という主張で動いてしまう場合があります。

メイン戦

無効系>うらら>うさぎ>ドロバ>クロウ>他

無効系というのは泡影ヴェーラーしぐれを一括した表現として今後も本記事では使っていきます。ここに関してはストリート3枚体制によって構築からある程度耐性を持たせています。本命は極力ストリート適用下でプレイしたいところです。

単純に流行度合いというのが大きいですが、クロウに関しては母数が恐らく相当限られるのに対して初動からケアするとこちらのプレイがかなり歪んでしまう、さらにアドバンテージ的には打った側が明確に損する誘発ということで、妥協盤面での押し付けでも十分勝利が期待できる、理屈のもと一番下に置いています。

ドロールについては、受けても抱えたリソースや、動かなかったことでコストとならなかった誘発などによって十分ゲームできる範囲かと思い、少なくともメイン戦でのケアの優先度は低いと思います。

うさぎはケアというほどではないのですが、割られたフレンドをプランプで吸えるように意識する、相手のうさぎの当て先にこちらのハッピーメモリーを合わせられるように極力発動順を後ろに回す、といった話があります。

サイド後

無効系>応戦>うらら>ドロバ>うさぎ>クロウ

サイド以降はあらゆる対面から応戦するGが飛んでくる可能性があります。端的に言うと、対ピュアリィにおいては飛び切りの汎用性を誇るディメンションアトラクターのような存在で、ミラーですら採用候補になる1枚です。

意識しないとギミックが機能不全になってしまうカードとなっており、意識しないと敗着に繋がってしまう場合も多くなってしまいます。

先攻時の応戦するGの回答についてですが、

・プランプの除外効果

・ビューティの無効効果(さらに素材に吸収出来ればサーチ効果も使えない)

・リトルナイトの除外効果

・サモンリミッターによる展開抑制

のいずれかが基本になるかと思います。

2ターン目以降はアーゼウスになる選択が取れうる分、応戦に対する立ち回りが若干楽になるのでサモンリミッターで過ごすという選択肢もありますが、他は基本的に意識しないとその択に辿り着けない進行になってしまう可能性が高いです。

具体的に意識する点としては、ドロールなどのケアで積極的にプレイしていたプリティメモリーをできるだけ手札に温存し、ピュアリィでビーティに変身出来るよう備えておく、といったシーンが頻発します。ハッピーメモリーもうさぎより応戦が流行的にももらった場合のリスクを考えてもケアを重んじる必要が高いと判断した場合、プリティメモリーより先にプレイします。

総じて、ピュアリィで変身する迂回ルートを常に維持しておく、というのが応戦を意識するうえで肝要になります。

 

4.総括

最後の内容として、実際以上を踏まえた調整に際して意識したことについてお話ししていきます。

繰り返しになりますが、今回多くの方とはっちCSに向け関わらせていただき、対戦や議論を通して視野を広げることが出来ました。

同じデッキを当日持ち込むにあたり、当日はもちろん、当日までの意見交換や構築共有等に協力いただきましたチームメイトのゆーさくさん、ちるさんのお二方

並びに前制限の時期から構築やプレイの相談に乗っていただいた皆さん。特にちーたらさん、kigremoさん、みりんちょさんのお三方に関しては実際の調整の場のみならず、実際遊戯王をプレイできない期間に関しても調整のフィードバック等を共有していただきました。

改めてになりますが、関わっていただいた皆様、本当にありがとうございました。

ここ1ヶ月の調整期間ですが、

 

・対面デッキの極度な偏りを避ける(意図的に対面するアーキタイプの種類数を増やす)

・実践では取らないような択も検討する

 

当たり前ですがこの2点を意識して取り組んできました。

前者に関してですが、いくらピュアリィが環境トップと予想したとはいえ極端な話その対面のみでしか機能しないサイドカードで15枚中の多くを埋め尽くしてしまう、或いはその対面のプレイの練度のみが極端に上がってしまい、それ自体はいいものの時間は有限なため他のデッキとの調整が蔑ろになってしまう、となってしまった際に当日試合中に処理しなければならない情報量が増えてしまうと言う点であったり、そもそも構築負けが発生してしまうというのが個人的には許せず、それであれば当日当たる可能性はやや低くとも最低限の理解はしておこうと決めていました。

後者は先ほども言った「負けパターンを知っておく」というのに通ずる部分なのですが、ぶっつけ本番では日和ってしまってとてもじゃないが取れないような選択肢も、本番に至るまでの無数の負けていい場面においてはそれすらも試すべき1ケースに該当すると考えました。

仮にそういった無茶な択が通って勝ってしまった場合、これは噛み合いであったり偶然であったり、即ち“誤った成功体験”に当たる場合があります。一度のみのデータを経験則として保管するのではなく、それがどこまで再現性を孕んだものであるかを試行回数を経て、本当に実践においてもやる価値のある択なのかを検討する必要があります。


5.最後に

長くなってしまいましたが、ここ1ヶ月間の遊戯王への取り組みについて少しでもお伝えできていれば幸いです。

なお、本記事についてのご質問、ご意見などございましたら、筆者Twitterアカウントや質問箱まで是非ともお問い合わせいただければ助かります。

 

正直、この熱量で遊戯王に取り組むことはしばらく無いと思い、やや抽象的な内容が多くなってしまいましたが備忘録も兼ねてまとめてみました。完全に自己満足のための吐露が大半ですが、少しでも読んでくださった方の糧になればと思います。

ということで別拠点(下記サイト)に戻ろうと思います。

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。